会社の役員については、原則毎月同額の給与しか支給することはできません。
しかし、前もって税務署に届出をしておくことによって、役員についても賞与を支給することができます。
それが、「事前確定届出給与(じぜんかくていとどけできゅうよ)」という制度になります。
事前確定届出給与とは?
事前確定届出給与とは、あらかじめ税務署に届出をすることによって、経費に入れることが認められる役員に対する賞与のことをいいます。
支給予定日と支給額を、決められた期限までに届け出る必要があります。
具体的には、
- 事前確定届出給与に関する届出書
- 付表1(事前確定届出給与等の状況(金銭交付用))
という2種類の書類を提出することになります。
いつまでに届出をすればいいのか?
では、この届出書はいつまでに提出すればいいのでしょうか?
定時株主総会から1ヶ月の間に提出すればOKです。
例えば、定時株主総会が5/25にあったならば、6/25が提出期限となります。
設立1期目の場合
設立1期目の場合は、設立の日以後、2ヶ月以内が提出期限となります。
例えば、4/1に設立した法人であれば、6/30がその提出期限となります。
【重要】届けた金額と異なる金額を支給した場合
この事前確定届出給与、届け出た金額を届け出た日に支給しなければ、経費として認められません。
100万円届け出たにもかかわらず、60万円しか支給しなかった・・・この場合、実際に支給した60万円すべてが経費として認めてもらえないということになります。
では、届出額が100万円で、実際にはまったく支給しなかった場合はどうなるでしょう?
この場合は、支給額が0円ということになるので、特に何のペナルティもありません。
事前確定届出給与、届け出たならば、0か100かの選択ということになります。
同じ事業年度中に2回支給する場合
事前確定届出給与は、同じ事業年度中に複数回設定することも可能です。
具体例をみていきましょう。
【前提】
事業年度:4/1〜3/31
事前確定届出給与として届け出た内容:9/30に100万円、3/31に100万円をそれぞれ支給
(ケース1)9/30に100万円支給、3/31に50万円支給
結論:すべての実際支給額(150万円)が、経費として認められません。
(ケース2)9/30に100万円支給、3/31は支給なし
結論:すべての実際支給額(100万円)が、経費として認められません。
3/31は支給額0円なので何だか良さそうに思えますが、ダメです。
同じ事業年度を1単位として判定することになるため、このような判定結果となります。
最後に
わかりやすくするため、説明をはぶいている部分も多々あります。
実際に届け出をする際は、税理士と相談した上で決めましょう。
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節税という観点からいえば、期末に1回支給するパターンが使いやすいと思います。
当然ではありますが、事前確定届出給与は個人に対する賞与となるため、所得税や社会保険料の対象となってきます。
実際に支給する際は、そちらも考慮に入れて検討する必要があります。