決算日の変更が、法人税等の節税になることがあります。
決算日の変更というと、面倒なように思われるかも知れませんが、手続き的には簡単にでき、しかも費用はかかりません。
どのような場合、節税になるのか?
例えば、3月決算法人を例にとって考えてみましょう。
この法人が決算日の変更によって節税となるのは、3月に多額の利益が見込まれるような場合です。
その場合、決算日を2月末日に変更することにより、3月に見込まれる多額の利益を翌期に繰り延べることができるというわけです。
ただ単に利益を翌期に先送りしたに過ぎませんが、次の1年間でゆっくりと節税対策を考えることができます。
決算日変更の手続きについて
決算日の変更は次の2ステップで完了です。
なお、登録免許税などの費用は一切かかりません。
- 会社の定款(ていかん)を変更する
- 税務署等に異動届出書を提出する
会社の定款を変更する
株式会社の定款には、絶対ではないのですが、通常は事業年度の記載があります。
上記の法人の例ですと、定款に記載されている「4月1日から3月31日まで」という事業年度の部分を、「3月1日から2月末日まで」に変更する必要があります。(※うるう年がある関係で、2月の場合、2月末日という記載になります。)
具体的な手続きとしては、臨時株主総会を開き、議事録を作成することになります。
(株式会社の場合、発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要)
税務署等に異動届出書を提出する
事業年度を変更した旨を記載した「異動届出書」を、税務署、都税事務所(又は県税事務所など)、市役所に提出しなければなりません。
では、いつまでに異動届出書を提出すればよいのか?
法律上は、「異動後速やかに」となっており具体的な日時の指定はありませんが、遅くとも申告書の提出期限(事業年度終了の日から2ヶ月以内。上記法人の例でいえば、4月30日。)までには提出しておくべきでしょう。
また、異動届出書の提出の際は、定款変更時の議事録のコピーを添付しましょう。
添付する義務があるわけではないのですが、添付がないと必ずと言っていいほど、税務署より議事録等を送るよう連絡があります。
二度手間になりますので、議事録の添付を忘れずに。
最後に
決算日の変更というとかなり大胆な節税方法と思われるかも知れませんが、手続き的にも費用的にも敷居は低いものであることが分かっていただけたと思います。
利益の計上をできるだけ次の事業年度にまわすことは、節税の基本です。
会社設立時にあまり考えず、日本では一般的である3月決算の法人としてしまった場合などは、一考の価値ありです。