「飲食店経営者がお客様を自分のお店で接待する」なんてことは、よくあることだと思います。
- 売上として計上すべき?
- 交際費として経費にしてもいいの?
その場合の経理はどのようにすればいいのか、みていきましょう。
お店でちゃんとお会計をした場合【販売価格で計上する方法】
例えば、自分のお店でお客様と飲食をして、普通にお会計をした場合。
この場合は、その領収書やレシートを交際費として計上します。
自分で自分に領収書を出すというのも不思議な感じではありますが。
【参考】
売上の処理:(現金)×××円(売上)×××円
経費の処理:(交際費)×××円(現金)×××円
売上と交際費の金額は同じですから、結局はプラマイゼロになります。
ただし、このやり方だと場合によっては、損するケースもあります。
できれば次に説明する方法で、売上・経費を計上した方がよいでしょう。
もちろんお店でお会計をしてなくたって大丈夫【原価で計上する方法】
「お店でちゃんとお会計をした場合」の方法では、損するケースもあると書きました。
これから説明する「原価で計上する方法」は、上の方法より少し面倒ですが、こちらの方がオススメです。
個人事業主と法人にわけて説明します。
個人事業主の場合
- 材料の仕入価格
- 販売価格の70%
の高い方の金額を「売上」と「交際費」として処理します。
【参考】
(交際費)×××円(売上)×××円
※消費税を計算する際は注意(消費税の納税義務がない方は読み飛ばしてください)
消費税を計算するときに使う「売上」は、
- 材料の仕入価格
- 販売価格の50%
の高い方以上の金額を「売上」としなさい、という決まりがあります。
「販売価格の70%」を採用していれば、そのままでも「販売価格の50%以上」の条件はクリアしてるので問題ありません。
しかし、それでは20%分の損をしてしまうので、消費税の計算のときは「販売価格の50%」に売上を置き換えてもOKということになっています。
その結果、所得税の申告書に書いてある「売上」と消費税の申告書に書いてある「売上」の金額が違ってくるという現象がおこります。
法人の場合
原則は「販売価格で計上する方法」ですが、「原価で計上する方法」でもOKです。
処理方法としては、「原価」として計上した金額を「交際費」に振り替えることとなります。
【参考】
(交際費)×××円(原価)×××円
個人事業主の場合は材料費だけでしたが、法人の場合の「原価」には、
- 材料
- 人件費
- 水道光熱費、家賃などの固定費
も含まれます。
販売価格 × 原価率
で「原価」の金額を算出することも認められています。
「お店でちゃんとお会計」の方法でも損をしない場合とは
自分のお店で普通にお会計して、領収書やレシートをもらった方がわかりやすくていい、ということもあるでしょう。
経理処理としては、確かにその方が単純だし、あとで処理を忘れる心配もありません。
法律的にも、こちらの処理の方が原則です。
では、どんな場合は「お店でちゃんとお会計」でも損をしないか?
「お店でちゃんとお会計」でも損をしないケース
- 消費税の課税事業者ではない場合で、今期の売上が1,000万円には到達しないと予想される場合
こういったケースであれば、「お店でちゃんとお会計」でも損はありません。
売上と経費でプラマイゼロ、消費税については支払う義務もないのでそもそも関係ありません。
売上が1,000万円を超えてくると、2年後に消費税を支払う義務が出てくるため、そこは要注意です。