法人が、ある程度以上の税金(法人税や事業税・住民税、消費税)を支払っていると、確定申告を待たずに税金を支払わなければならないケースがあります。
予定申告とか、中間申告などと呼ばれる、税金を前払いする制度です。
前年の税額がある金額以上になると、申告書を提出し、税金を前払いする必要が出てきます。
もちろん、その前払いした税金は、あくまで前払いにすぎないので、確定申告のときに精算されることになります。
税金の前払いが必要となるのは?
税金の前払いが必要となるのは、
- 法人税の場合は、前年の「⑭差引所得に対する法人税額」が20万円を超えるとき
- 消費税の場合は、前年の「⑨差引税額」が48万円を超えるとき
です。
(↓法人税の申告書)
(↓消費税の申告書)
なお、前年の税金が、それらの金額を超えていなければ、前払いは不要です。
前払いする税金の方法としては、次の2種類があります。
- 前年実績による中間申告
- 仮決算による中間申告
2つの方法のうち、どちらか好きな方を選んで前払いする税金を計算することができます。
そして、この2つ、まぎらわしいのですが、省略して次のように呼ばれることがあります。
- 前年実績による中間申告・・・予定申告(よていしんこく)
- 仮決算による中間申告・・・中間申告(ちゅうかんしんこく)
では、それぞれの意味について説明していきます。
前年実績による中間申告(予定申告)とは?
「前年実績による中間申告」、またの名を「予定申告(よていしんこく)」とは、前年の税金の半分を、前払いする方法です。
税務署から税額が印字された納付書が送られてくるので、それを使って支払えばOKということになります。
仮決算による中間申告(中間申告)とは?
「仮決算による中間申告」、またの名を「中間申告(中間申告)」とは、今年度の前半、半年分について、実際に税金を計算してみて算出された税額を前払いする方法です。
例えば、3月決算法人(事業年度が4〜3月)であれば、4〜9月の期間で決算を行い、税額を計算することになります。
仮決算による中間申告(中間申告)のメリット
今年度前半の会社の成績が、前年度よりも落ちているのであれば、前年実績による中間申告(予定申告)よりも仮決算による中間申告(中間申告)をしたほうが、前払いする税金は少なくなるので、税金的には有利といえます。
ただし、手間であったり、外部(税理士)に委託することによる手数料などを考えた場合、トータルでは有利とはいえなくなることもあります。
【仮決算による中間申告(中間申告)ができないケース】
法人税については、仮決算による中間申告(中間申告)ができない場合があります。
それは、
- 今年度の半年分で計算した前払い税金の金額が、前年度の法人税の金額の半分を超える場合
というようなケースです。
つまり、税務署から送られてきた納付書の税額よりも、自分で求めた半年分の税額が大きいと、仮決算による中間申告(中間申告)ができません。
これは、仮決算による中間申告(中間申告)で納付した金額が将来還付される際につく利息(還付加算金といいます)狙いの中間申告を防止するための規定となります。
いつまでに申告すればいいのか?
事業年度の開始月から半年後のさらに2ヶ月後が、申告・納付の期限となります。
申告書の提出も、前払い税金の支払いも、その日が期限です。
例えば、3月決算法人(事業年度が4〜3月)であれば、4/1から半年後(9/30)の2ヶ月後なので、11月30日が期限となります。
申告書の提出をしなかった場合はどうなる?
申告書の提出をしなくても、税金さえ支払っていればOKです。
この場合は、前年実績による中間申告(予定申告)の金額を支払うことになります。
税務署等から送られてきた納付書で税金を期限までに支払いさえすれば、申告書も提出したものとして処理されます。
まとめ
- 特に何もなければ、前年実績による中間申告(予定申告)。
- 前年度よりも明らかに業績が悪く、資金繰りが厳しいなどの状況であれば、仮決算による中間申告(中間申告)を検討する。
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