法人税法の規定に、「欠損金の繰戻し(くりもどし)による還付」という制度があります。
この制度は、
- 今期は赤字
- 前期は黒字で法人税を支払った
ような場合に、前期に支払った法人税をかえしてもらうことができる制度です。青色申告の特典となります。
また、この制度の適用を受けるためには、確定申告書の提出と一緒に、「還付請求書」の提出が必要となります。確定申告書を提出期限までに提出できなかった場合は、適用が認められません。
この制度が使える法人の条件
この制度を適用できる法人は、中小企業者等のみとなります。
中小企業者等とは、資本金1億円以下の法人などをいいます。ただし、資本金5億円以上である親会社の完全子会社には適用できません。
還付金額の計算方法
還付金額は次の算式で求められます。
「還付金額 = 前期の法人税額 × 今期の欠損金額※1 / 前期の所得金額※2」
※1・・・欠損金額とは、法人税法上の赤字のことです。
※2・・・所得金額とは、法人税法上の利益のことです。
「今期の欠損金額※1」は、「前期の所得金額※2」が限度となります。
この制度を適用しなかった場合はどうなる?
この制度を適用しないこともできます。
その場合、今期に生じた欠損金は翌期以降に繰り越され、翌期以降に生じた所得金額と相殺されます。こちらの制度は、「欠損金の繰越控除(くりこしこうじょ)」といい、青色申告法人であれば、9年間その欠損金を繰り越すことができます。今後(平成30年以降)は、繰越期間が10年間に延長されることが決まっています。
最後に
法人税法の条文には、還付請求があった場合には、「必要な事項について調査し、調査したところにより」還付するというような記載がありますが、必ずしも実地の税務調査があるというわけではありません。もちろん、ないとも言い切れませんので、税務調査があるかも知れないことを頭の片隅に置いておきましょう。
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