個人事業主向けの退職金積立制度である「小規模企業共済」。
支払った全額を経費に計上することができ、「所得税」と「住民税」において、節税効果があります。
もちろん、本来の趣旨は退職金積立制度ですので、節税という側面だけでなく、将来への備えにもなります。
銀行や信用金庫などの金融機関や、商工会議所などの委託団体で申し込むことが可能ですが、掛金の引落の手続きをするのに、口座のある銀行・信用金庫にて、確認印をもらわなければなりません。
よって、最初からその振替口座のある銀行・信用金庫にて手続きをしてしまったほうが、二度手間にならずに済むと思います。
早めに加入手続きは済ませたいところですが、今年の確定申告に間に合わせるには、12月末までに手続きをすれば一応大丈夫です。
各窓口の最終営業日がその期限となります。
小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、国の機関(中小機構)が運営する、個人事業主向けの退職金積立制度です。
掛金の月額は、1,000円〜7万円まで、500円刻みで自由に設定できます。
そして、その年に支払った掛金の全額が、所得控除の対象となります。
所得控除なので、ざっくり言うと、「(その年に支払った掛金の全額)×(税率)」の分だけ、所得税と住民税が安くなります。
翌年分の掛金を前払いすることも可能で、今年初めて加入するのであれば、「今年の分(加入月から12月分まで)+来年1年分」の最大24ヶ月を支払うこともできます。
その場合、最大で、7万円×24ヶ月=168万円が、所得控除の対象となります。
ちなみに、この前払いのことを、「前納(ぜんのう)」といいます。
(実際は、前納すると「前納減額金」という割引があるため、所得控除する金額は少し少なくなります。)
小規模企業共済の申し込みに必要な書類など
以下の書類などを、振替口座のある銀行・信用金庫に持参し、申し込みの手続きをしましょう。
- 所得税の「確定申告書」の控え(事業を開始したばかりで確定申告書がない場合は、「開業届」での控え)
- 「認印」と「銀行・信用金庫の届出印」
ただし、12月に駆け込みで加入する場合には、現金(払い込む予定の金額)を持参しましょう。
現金にて支払わないと、今年の確定申告には間に合いません。
小規模企業共済のメリット
今年の所得税と住民税に対する節税効果以外にも、次のようなメリットがあります。
- 240ヶ月(20年)以上払い込んでいれば、解約時、払い込んだ金額以上戻ってくる。
- 解約して受け取った金額については、退職所得や雑所得として取り扱われるため、その点においても節税効果がある。
- 払い込んだ掛金の範囲内で、貸付を受けることができる。
- 掛金の増減が可能である。
解約すれば課税の対象となってしまうのですが、退職所得や雑所得として扱われるため、その際の税負担も軽くて済みます。
小規模企業共済のデメリットや注意点
デメリットや注意点としては、次のようなものがあげられます。
- 240ヶ月より前に解約した場合、元本割れをしてしまう。
- お金が手元に残らない。
所得税と住民税の節税にはなりますが、減った税金の額以上に、お金は出ていってしまいます。
資金繰りなど考慮した上で、掛金の金額を決める必要があります。
最後に
フリーランス・個人事業主には、退職金がありません。
自分で積み立てるしかないのです。
経費として落としながら退職金を積み立てることができる「小規模企業共済」制度を上手に活用しましょう。
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