領収書だけでなく、契約書にも貼らなくてはいけない収入印紙。
領収書にかかる印紙税についての記事の続編として、今回は契約書にかかる印紙税についてみていきたいと思います。
印紙税を貼らなくてはいけない契約書3種類
印紙税を貼らなくてはならない契約書は、大きく分けて3種類ほどあります。
1.不動産の譲渡などに関する契約書
不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭借用証書、金銭消費貸借契約書、運送契約書などの契約書をいいます。
記載された契約金額によって、200円〜60万円の収入印紙の添付が必要となります。
記載された契約金額が1万円未満の契約書については、収入印紙の添付は不要です。
2.請負に関する契約書
工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書などの契約書をいいます。
記載された契約金額によって、200円〜60万円の収入印紙の添付が必要となります。
記載された契約金額が1万円未満の契約書については、収入印紙の添付は不要です。
3.継続的取引の基本となる契約書
売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書など、継続的な取引を行うための契約書をいいます。
一律4,000円の収入印紙の添付が必要となりますが、「契約期間が3ヶ月以内」かつ「更新の定めがない」場合は、収入印紙の添付は不要となります。
印紙を貼り忘れた場合
領収書にかかる印紙税と同様、本来貼るべき印紙の金額の3倍の罰金を徴収されます。
この罰金のことを、過怠税(かたいぜい)といいます。
この過怠税は、法人税の計算上、会社の経費にはなりません。
印紙税の節税
印紙税の節税、おすすめできる方法を3つ紹介します。
紙の契約書を作らない
領収書と同様、紙の文書を発行しなければ、そもそも印紙税は発生しません。
相手先がOKならば、PDFにて契約書を発行し、メールのやり取りにおいて、お互い合意を取りましょう。
その際のメールのやり取りは、契約合意の証拠となりますので、きちんと保存をしておく必要があります。
消費税を別途明記する
「不動産の譲渡などに関する契約書」と「請負に関する契約書」については、消費税額が別途記載されていれば、税抜の金額で印紙税の区分を判定することになります。
「請負金額1,080万円」の記載では、収入印紙2万円の貼付けが必要ですが、
- 「請負金額1,080万円(税込)、うち消費税80万円」
- 「請負金額1,000万円(税抜)、消費税80万円、合計1,080万円」
のような記載であれば、税抜価格での判定となるため、収入印紙は1万円ですみます。
相手先にはコピーを渡す
本来は、発行した紙の契約書すべてに、収入印紙を貼る必要がありますが、原本を1部だけ作成し、そちらには収入印紙を貼り、相手方にはその契約書のコピーを渡すことで、印紙税の節税をはかる方法もあります。
コピーした契約書に改めて署名や押印をしてしまうと、収入印紙を貼る必要が出てくるので、要注意です。
「ただのコピー」には、収入印紙は不要ですが、何かを書き込んでしまうと「ただのコピー」ではなくなり、収入印紙が必要になってきます。
印紙には消印が必要
契約書などに貼り付けた印紙には、消印を押さなくてはなりません。
印紙と契約書にまたがって、押印します。
押す位置に特に決まりはありません。
領収書を発行する人の認印で大丈夫です。
サインでもOKですが、鉛筆などの消せてしまうものはNGです。
消印がないと印紙を貼ったものとみなされないので、忘れないように!
間違って印紙を貼ってしまった場合
納税地の所轄税務署にて、還付の手続きが可能です。
誤って納付した印紙税の還付(国税庁のホームページより)
最後に
契約金額による印紙税の金額については、「印紙税額の一覧表」をご参照ください。
「不動産の譲渡などに関する契約書」と「請負に関する契約書」については、契約書の作成日によっては優遇措置がありますので、ご注意ください。
※いずれも国税庁のホームページより
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